無料解析ソフト(REW)のご紹介
- 弘一 梶崎
- 2023年8月29日
- 読了時間: 3分
書籍「見て分かるデジタルオーディオの真実」でも使用していますが、REW( Room EQ Wizard )という無料ソフトがウェブ(http://www.roomeqwizard.com)で提供されており、これを用いて、室内音響を計測することができます。オーディオを趣味とする方で使用されている人も多いと思います。
このソフトは、上記のURLより無料でダウンロードできます。また、ウェブから英語版の説明書(help files)をダウンロードすることもできますが、日本語の文献(新井悠一「DIYのためのREWによるオーディオ測定」株式会社 J.TESORI2019年発行)も利用することができます(但し有料)。そして、「REW」でウェブサイトを検索すると、幾つか、実際に使用した例などが紹介されています。
本ブログでは、これを用いて解析した例を幾つか紹介します。特に、見て頂きたいのは、REWを用いて無響室内でスピーカー(B&W805D3、距離1m、軸上)の周波数特性を測定した場合(青線)と、リスニングルーム内で同じ条件(但し、リスニングポジション、距離2.5m)で測定した場合(赤線)の違いです。後者については、スピーカーを適当な位置に置いただけ(セッティング調整前)ですから、悪いセッティングの例に相当します。

無響室内での測定の様子を下の図に示します。

リスニングルーム内では、無響室内と比べて、反射音や定常波等の影響で周波数特性が大きく変化しています。アンプやDAコンバーターの周波数特性はほぼフラットですから、聴感に影響するような、大きな変化があると言えます。このような変化は、セッティングを調整することで小さくすることができますが、無くすことはできません。
これを極力なくすためには、イコライザーを使用する必要がありますが、REWにはイコライザーカーブを生成する機能も備えています。但し、これを利用するためには、DSP(デジタル・シグナル・プロセッサー)が必要になります。
そして、REWで室内音響を計測するには、下記のような装置の接続が必要になります。詳細については、上記のウェブサイトをご参照ください。

このように、室内音響を計測するには、測定用のマイク(デジタル出力タイプ)が必要になります。しかし、マイクなしでも、ADコンバータがあれば、リアルタイムで周波数成分を測定できるRTA (Real Time Analyzer)などが使用できます。測定のための一般的な装置構成は、次の図のようになります。例えば、Analog Deviceとして、プリアンプなどを接続して、1kHzのサイン波を発生させながら、スペクトル解析を行なうことで、ノイズ成分の量や高調波歪みの有無などを知ることができます。

下の図は、アナログアンプについて、1kHzのサイン波を発生させながら、スペクトル解析を行なった例です。

また、同じアナログアンプ(緑線)について、周波数特性をREWで測定した例を次に示します。より高価な別のアナログアンプ(赤線)についても、測定結果を示しています。スピーカーからの出力(特にリスニングルーム内)と比較して、周波数特性には、大きな差異があります。

以上のようにREWを使用するだけでも、スピーカーからの出力(特にリスニングルーム内)は、アンプ等と比較して、周波数特性に大きな変化があることが分かります。
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