top of page

「デジタル領域での信号の波形変化」について(書籍「見て分かる・・・」より抜粋)

 例えば、インターネットを通じて、お金を送金する場合に、0」が1つ増えるだけで大問題となります。インターネットバンキングが主流となりつつあるのは、そのような問題が生じる確率がゼロだからです。同様に、CD-Rに書き込んだ帳簿を読み込む際に、「0」が1つ増えることもありません。このため、デジタル領域において、技術的には、情報伝達の確実性を担保できることが明らかです。

 その一方で、どこまで情報伝達の確実性を実際に担保するかは、規格の問題であり、その規格通りに動作するかは、装置の仕様の問題です。規格が緩ければ情報伝達の確実性は低下し得ますし、装置の仕様によっても確実性は低下します。

 このため、オーディオ装置に関しても、念のためにデジタル領域での信号の波形変化を確認した方がよいと思い、「第3章 デジタル領域における真実」において、種々の確認をしました。その結果、「見ての通り」オーディオ装置に関しても、意図されている形態で使用する限りは、情報伝達の確実性は担保されているようです。この点は、通常のデジタル機器では当たり前であるため、オーディオ装置に関しても例外でなかったと言うだけのことです。

 特に、CDと全く同じ信号が、ストリーミングによって完全に再現できる点(ビットパーフェクト)は、ストリーミングの利便性や楽曲数、ストレージ容量を考慮すると、望ましい結果であると考えます。特に、ハイレゾ音源をストリーミングする場合でも、ビットパーフェクトが可能であることは、第6章で述べるハイレゾの有用性を考慮すると、特筆に値します。音質を犠牲にすることなく、利便性や楽曲数を享受できるストリーミングは、今後、音楽再生の主流となることが間違いないでしょう。

 一方、「第6章 アナログ変換における真実」において説明しますが、アナログ領域やD/A変換を伴う場合、音楽信号の波形変化をなくすことは困難であり、デジタル領域とはかなり異なる様相となっています。

 このような信号の波形変化は、音質に影響する可能性が「ゼロではない」といえますが、実際にスピーカーから出る音を比較して、その差異が判別できるか否かは、別問題です。このため第5章では、「波形変化が音質に及ぼす影響」について検討します。また、第7章の「7.7 参考(スピーカー出力と室内音響)」では、スピーカーに入力されるまでの電気信号の波形変化と、スピーカー出力や室内音響による波形変化の程度が全く異なる次元であることを示します。

 いずれにしても、音源に対して各装置の出力の信号がどの程度変化しているかを知っておくことは、オーディオ装置を検討する上で、大変意味のあることだといえます。

閲覧数:36回0件のコメント

最新記事

すべて表示

「音質」の考え方について

趣味としての音楽鑑賞という意味では、好きな曲が人それぞれであるように、再生装置から出る音も、好みの問題だと考えることができます。なかには、音源の情報量をより少なくして聴く方が好みに合うという人もいます。しかし、オーディオを趣味とする方の多くは、音源に対して、例えば周波数レン...

Commenti


bottom of page